昨今のDXをはじめIoT、データサイエンスなど、最先端の技術を担うシステム開発を中心としたIT人材の活躍の場が増加しています。システム開発における世の中のニーズが高かまる一方で、実際の開発現場では「営業」と「SE」の役割の違いによる対立が発生し、「仕事がきつい」「向いてないかもしれない」と感じてしまうこともしばしば発生しています。これから、SEを目指したいと思われている方は、実際の開発現場での声をもとにどういった職業なのか今一度考えてみても良いかもしれません。
しかし、対立と言ってもネガティブなことばかりではなく、日ごろからコミュニケーションを取る方法や仕事への取り組み方を変えるだけで円滑化に向けて改善することができます。
この記事では、「営業」と「SE」の違いから改めて確認し、”なぜ両者の対立が起きてしまうのか”、”お互いの意思疎通を円滑にする方法は何があるのか”、を実際のSEが詳しく解説していきます。
①日ごろからお互いに今考えていることを共有する
②対立が発生する場面を予測し、対策しておく
③自分の役割を徹底して頼られる存在になる
営業やSEとのコミュニケーションで悩んでいる方や、これからSEなどを目指したい方はぜひ確認していただき、対立は避けて協力的な関係になるにはどうするかのか参考にしてみて下さい。
営業とSEの違い
まず初めに、営業とSEは何が違うのかについてですが、多くの人はイメージとしてはわかっているようで意外と明確に定義ができていません。両者ともお客様(クライアント)と開発エンジニアを結ぶ存在であり、とても業務内容も似ています。
お互いのことを理解することが大切なので、ここで改めて両者の役割の違いを確認していきます。
営業→「顧客が抱える問題点や課題に対して解決策を提案すること」
営業は、一般的に「引合発掘」「提案実施」「契約合意」「納品・検収フォロー」「入金確認」までを実施します。契約して受注したら終わりではなく、受注後の依頼内容の変更対応や、クレーム対応まで、検収までの一通りのフローにおける窓口になる必要がある。日ごろからお客様はもちろん、技術との円滑なコミュニケーションが欠かせない存在です。
SE→「解決策を実現するために各開発工程の管理を行うこと」
具体的な開発工程は「要件定義」「設計」「実装」「評価」など。多くの場合チームで作業を進めるため、作業状況の進捗確認、予算やリソースの管理、調整も実施します。
また、昨今の技術の多様化により、システム開発の基本的なスキルの他に、「AI」「IoT」「デザイン」「クラウド」などの最先端の技術を常に追いかけることが必要です。プログラマーなどとは違い、技術的なスキルの他に、プロジェクトが無事完了できるように各種管理や関係者との調整まで求められる。
SEと営業の一番の違いは、「エンジニア」であるかどうかです。
SEは、あくまでもエンジニアであるため、お客様(クライアント)と技術的な会話がメインになります。
一方で、営業はお金に係ることや、業務処理の窓口などを担っています。
似ている役割でしばしば意見や方針が対立することも?
しかし、「営業」も「SE」も顧客の課題やニーズに対して、解決策を提示し顧客へ貢献するという点では役割が似ています。そのため、同じ目標を持っていても立場(責任の範囲)が違うため、お客様(クライアント)への提案内容を検討する際にしばし対立が発生してしまうことがあります。
特に案件が高難易度だったり、トラブルやクレーム対応が発生した時には、対立が起きる可能性が高くなります。
【営業とSEの役割の例】
営業:ビジネス、契約、売上
SE:開発案件、プロジェクトチーム、原価
よく「営業は数字のことばかり言ってくる」「SEが顧客の要求を断ってくる」など、お互いの不満の声を耳にすることがありますが、相手の役割が正しく理解できていないことも一つの要因です。
お互いの責任を全うするために意見がぶつかることは、モチベーションとしても良いことであり、対立によりモチベーションやパフォーマンスが下がったり、対立を避けて意見交換を行う機会を失ったり、最終的に顧客と自社に対する価値が低下することが問題になります。
営業から見たSEとは?
ここでは、なぜ対立が発生するのか、営業目線からみたSEを想像してみましょう。
次の章で意思疎通を円滑にし、顧客のために意見交換がしやすくなる方法を紹介するため、読む前にどのようなケースがあるかをイメージしてもらえればと思います。
例えば営業の思い(嬉しいこと)としては以下のようなものがあります。
①お客様に良い提案をして喜ばれる
②自社の売上が拡大する
③将来性がある案件を受注し皆の期待を集める
上記を達成することができれば、お客様にも自社にも貢献でき、評価が上がります。ただし、一般的にはそれを実際に計画検討・実行する人はSEが担当することになり、SEは営業が求めることをすべて実行しようと思うとリソースも時間も足りなくなります。自然と優先順位を付けて業務を対応していくことになりますが、営業がやりたいことはSEからすると負荷が高かったり、面倒と感じる仕事が多いため営業側の思いとは反して優先順位が低くなってしまいがちです。SEは案件がトラブルにならないように進捗を管理しチームメンバーや原価の状況も管理しているため、仕事の性質上、守りに考えが向かってしまうことも理由の一つ。営業もSEも自身の役割を全うしようとした結果、お互いに譲らない対立を生んでしまうため、お互いに相手の役割を把握し、日ごろから最善の手を探すように意識することが必要です。
次から意思疎通を円滑にする具体的な方法を紹介します。
営業とSEの意思疎通を円滑にする3つの方法
上記の対立する理由から、冒頭に紹介した営業とSEの意思疎通を円滑にする方法3つをお伝えします。どれも意識すれば実践できることですので、ぜひすぐに取り組んでみてください。
①日ごろからお互いに今考えていることを共有する
対立は基本的にお互いの意見に納得がいかない場合が多く、コミュニケーション不足による要因が最も多いものです。日ごろからお互いが考えている方針やアクションを共有しておくことで、事前に意見を伝えておくなど、急な対立の発生を抑制することが可能。
今はテレワークなど働き方も多様化しており、チャットやWEB会議、仮想オフィスなどタイムリーなコミュニケーションを行うためのツールはたくさんあるため、使いやすい手段で意識的に情報共有を多くしてみましょう。共有する情報のポイントは、営業側は顧客の動向や、市場観から今後どのような案件が発生しそうなのか。
そして営業としてどのような作戦で案件を獲りにいきたいかの構想。SE側は現在のプロジェクトの状況や、社内のリソース状況、SEとして今後どのような案件を獲得できると魅力的な実績が積めるのかの考え。こういった将来構想をお互いに共有してニーズを確かめ合っておけると良いでしょう。
②対立が発生する場面を予測し対策しておく
基本的に会議や電話、メールなどのコミュニケーションの中で対立は生まれます。お互いに対立してしまわないように事前に対策しておくのも手。例えば営業からのビジネス情報の発信や、顧客要求に対する検討会議で対立が生まれることは予測できるはずなので、会議の主催者や情報の発信者は相手方の立場や役割、自分が望んでいる相手のアクションを想像しながら、どのように進めることが望ましいかを考えることが大切。
プロのビジネスパーソンとして、日ごろから先を見据えた仕事をしましょう。
③自分の役割を徹底して頼られる存在になる
例えば「あの営業は見積書だけ作ってる」などと言われてしまわないように、当たり前ですがしっかりと自分の仕事を行うこと。お互いに頼れる関係でない意思疎通を円滑にすることは難しいです。営業側は難しい交渉は先人切って顧客と交渉し、SEが逃げがちな部分もしっかり顧客に向き合おうとしたり、SE側は営業(顧客)の無理な要求にも可能な限り応える姿勢を持つなど、お互いが困ったときに頼れる存在になれば、対立が起きた際にも日ごろの恩もあり誠実な対応に向かうはず。
お互いの仕事ぶりは意外と見られているものです。改めてプロとして仕事を徹底しましょう。
まとめ
「顧客に対して良い提案がしたい、ITが求められる市場で貢献したい。」同じ目標を持っているはずが、営業とSEの役割の違いによって無駄な対立が起きてしまうことは時間も労力も大変もったいないことです。
この記事で紹介した「営業とSEの意思疎通を円滑にする3つの方法」をぜひ実践し、お互いに相手の立場に立った協力的な姿勢で仕事に取り組めるよう意識していきましょう。
①日ごろからお互いに今考えていることを共有する
②対立が発生する場面を予測し対策しておく
③自分の役割を徹底して頼られる存在になる
すぐに改善はしなくても、日ごろから意識して取り組むことが大切です。システム開発は営業とSEどちらかだけでは絶対に出来ない業務です。営業の顧客ニーズを深堀りするスキルと、SEのそれを実現するスキル、両方がないと成り立ちません。改めて協力することの大切さも感じながら自分から意識を変えることで、次第に良い結果が出はじめ、仕事がずっと楽になるはずです。
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