猫さん、具合悪そうだね?
食欲がなくて、よく眠れないの。
お医者さんに診てもらったら?
そうしようかな。
現代はストレス社会とも言われます。
何をするにも期限がきつい、仕事量が大過ぎる、人間関係が難しいなど、心の病にかかる危険性は増大しています。
事実、学校の先生で休職している人の内かなりの人は心の病が原因とも言われています。
誰でも心の病に悩まされることはあるのです。
そこで、今回は仕事をしていて心の病になったら、あるいはそうなりそうなときにはどうしたらよいか、解決のヒントを紹介します。
心の病かなと思ったら
誰でも、仕事があまりにも忙しいと疲れてしまって、朝なかなか起きられない。
大きな失敗をしてしまってすっかり落ち込み、仕事に行くのが億劫になることはありますね。
それでも休日にゆっくり休めば、または失敗を成功の糧と考えて気を取り直すことができれば、また仕事に行く気力が湧いてくるものです。
でもあまりに疲れてしまい、また気力が弱って、朝布団から出られない。
食欲が無くてご飯も食べられない。
夜は疲れているのになかなか寝付けない。
そんな状態が1週間、10日と続くようなら、誰でも焦りますね。
何とか気力を取り戻そうと努力するでしょう。
少し休めばいいかなと思って一日中布団に入って休んでみる人もいます。
それでも改善しないならば、もしかしたら心の病かもしれません。
無理に頑張ろうとしないで、病院に行って診てもらうことを考えましょう。
周りの人も「怠けているだけじゃない。」とか「もっと気合を入れて頑張りなさい。」などと励ますのは禁物です。
「辛そうだから、一度専門医に診てもらったらどう?」とか「○○病院なら良く診てくれるよ。」というように、悩んでいる人に教えてあげることができれば最善です。
早期にお医者さんに診てもらうことは早い回復につながります。
ある青年はまじめで仕事もしっかりやっていました。
特別な理由はなかったのですが、ある時から寝つきが悪くなり、朝起きられなくなりました。遅刻、欠勤が続くようになり非常に困りました。
上司はちゃんと出勤するように催促しましたが、本人は努力しても出勤できませんでした。
かなりたってから知人に勧められて心療内科に通うようになり、少し良くなりましたが、仕事が忙しくなるとどうしても無理をしてしまい、結局5年間勤めた仕事を退職せざるを得ませんでした。
もう少し早くお医者さんに診てもらっていたら、仕事を辞めずに済んだのではないかと悔やまれました。
一方、仕事以外のトラブルで心のバランスを崩した中年女性は、朝起きるのが辛く何もやる気が出ないけれど、午後になるとやや回復するということが続きました。
家族はうつ病かもしれないと思い、病院の受診を勧めました。
この女性は家族のアドバイスを素直に受け入れて病院に行き、少量の薬をもらい仕事も減らしてもらいました。
その結果数か月で回復したので、仕事も続けることができました。
この二つの例から心の病かもしれないと思ったらできるだけ早く医療機関に行って診てもらい、適切な治療を受けることが大切だということが分かります。
病院に行くなら
初めて精神科や心療内科の病院へ行くのは、かなり勇気のいることです。
最近は心の病に悩んでいる人は相当多くなっています。
風邪を引いたら、内科の先生に診てもらうのは当たり前のことです。
それと同様に、心の病にかかったらそれなりの専門医に相談するのが一番です。
「精神科に行くなんて恥ずかしい。」とか、「誰かに知られたらどうしよう。」などと思わないことです。
まず精神科や心療内科を受診することを考えましょう。
最初はどのお医者さんが良いかわかりませんが、現在はインターネットを使えば、どこに専門医がいるか、またどの分野を得意とするかはすぐにわかります。
比較的評判の良いお医者さんに行ってみるのがいいです。
もし分からなければ、かかりつけの内科医などに症状を話してみましょう。
近所の専門医を紹介してくれることがあります。
保健所に電話して、適当な医院を紹介してもらうのもいいですね。
ただし、精神科のお医者さんは相性も大事です。
一度診てもらったけれど、「どうも話しにくい感じだった。」とか、「自分の話をよく聞いてくれなかった。」といった不信感が残るならば、もっと相性の良いお医者さんを探してみるのも一つの方法です。
病院に行って自分の状態を正直に話すと、必要に応じて軽い薬を処方されることがあります。
精神科の薬を飲み始めるとずっと続けなくてはならなくなるのではないかとか、副作用が強いのではないかと心配する人もいますが、最近は薬もとても良くなっています。
症状が改善されれば、やめられるものがほとんどです。
いたずらに薬を怖がることなく、飲んでみるのがいいです。
少量でも気分が楽になる、よく眠れるようになることが多いのです。
薬ではなく、認知療法と言って、自分の行動を書き出してみる方法を勧められることもあります。
例えば、こんな風に、
今回は失敗してしまったけれど、こんな場合は別の方法もあったから、次回からはこうしよう。
自分が思い違いをしていただけで、気にすることはなかったのだ。
相手の人は私を責めるつもりで言ったのではなかったのだと気付いた。
そのようなことを書きだすと気持ちが落ち着く場合もあるのです。
昼夜逆転になってしまって生活リズムが崩れて、自分ではどうにも改善することができない場合は、ある期間入院して生活リズムを立て直すこともあります。
精神科も入院となると、まるでドアに鍵がかかっている閉鎖的なところを思い浮かべる人がいますが、今はそのような病室ばかりではありません。
明るく清潔な部屋で静養するといった感じになっているところが多いので心配はいりません。
いずれにしても自分に合った方法で生活リズムを取り戻し、気持ち良く生活できるようになることが大事なのです。
産業医に相談する
有給休暇を利用して病院へ行き、ある程度休んで回復できるなら幸いです。
しかし、治療には時間がかかることもあります。
ある程度の期間休んで徐々に回復するのを待つ必要がある場合には、休職することも考えなくてはなりません。
かかりつけ医が、休職が必要だと判断すれば、診断書を書いてくれますから、それを会社に提出して、休みをもらうのがいいです。
またある程度の規模の会社には産業医がいて、休職の相談にものってくれます。
心の病でピンチな時には遠慮せずに相談に行くことをお勧めします。
産業医は休職を勧めるだけでなく、休職中の問題や悩みの相談にものってくれます。
また、心が回復して復職できそうだという時期には相談者が確かに復職できる状態か判断するだけでなく、復職のためのプラン作りにも協力してくれます。
ある青年は私生活で大きな問題を抱えてうつ状態になりました。
会社に行くことができなくなり、病院を受診しました。
お医者さんはすぐに回復するのは無理と判断し、ある程度休職するように勧めました。
幸い大きな会社だったので産業医とも相談して、3か月間休職にしてもらうことになりました。
彼はこの間に十分に回復することができたので、回復プログラムを組んで徐々に職場に復帰することができました。
彼は早く気が付いて受診したのと、スムーズに休職に入れたので、すっかり回復してその後は再度休むこともなく元気に働いています。
病状が早く回復するかは、早く病院とつながることと、休職の制度をうまく活用して休むことが重要です。
休職中はどう過ごす?
本格的に休職が決まれば、今日は出勤しなければならないかとか、会社に電話しなくてはならないと悩むことがなくなります。
それだけでも気持ちは楽になるはずです。
休職中にはまずはできるだけ休むことが第一です。
もちろんお医者さんに定期的に診てもらって、治療を続けることは大事です。
その他に自分でできることとしては次のようなことがあります。
・生活のリズムを取り戻す
休みに入ったからと昼まで寝ていたのでは、生活のリズムは崩れたままです。
普段通りに起きて、夜は早めに布団に入る習慣を取り戻しましょう。
日中は起きていて、リラックスすることを考えましょう。
とりあえず、今頃同僚は忙しく働いているだろうに悪いな、とか自分は仕事に復帰できるのだろうかというようなことを考えて心配するのはやめましょう。
ここまで精一杯働いてきたのだから、少しの間休暇をいただいたのだと考えて、音楽を聞く、本を読む、絵を描くなど自分の好きなことをして心を休めることに専念しましょう。
・できるだけ体を動かす
精神科の先生も、こう言っています。「人間はそもそも体を動かして働くようにできているのです。
だからまず体を動かすことを目指すべきですね。」
急に激しいスポーツをやりなさいというのではありません。
最初はウォーキングや軽いラジオ体操のようなものを1日1回はやってみるのがいいです。
登山を始めたらうつ病が改善したという例がありました。
体を動かしているとストレス発散になることは事実です。
家に閉じこもっているのではなく、公園まで行ってみるとか、コンビニに新聞を買いに行くのでもいいのです。
毎日少しずつ運動をして体力回復を目指しましょう。
徐々に仕事に復帰する
1~2か月休むとかなり回復するでしょう。
もう仕事に復帰してもいいかな、あるいは復帰したいなという気持ちになるかもしれません。
でもここで早まってはいけません。
診てもらっている先生にその旨伝えて、仕事に復帰しても良いか相談するのが鉄則です。
自分では大丈夫と思っても実は治りきっていなくて、仕事に復帰したらまもなく病状が悪化する場合もあるからです。
専門家の立場から適切な助言をいただき、「もう大丈夫。」と言われてから具体的にいつから復職するかを決めるべきです。
もちろんすでに産業医に相談している場合は、産業医の意見も聞いてみることが大事ですね。
大丈夫となれば、上司にも話して、具体的な復職の時期を決めましょう。
ただし、無理は禁物です。
産業医の先生とも相談して、最初は午前中だけとか、午後も早い時間に帰宅するようなプログラムを組んでもらって、数週間かけて徐々に職場復帰するのが賢明です。
まずはいつもの時間に起きて通勤時間には駅まで行ってみる、その後は図書館などに行って数時間読書や勉強をして、仕事の終わる時間ぐらいに帰宅するという疑似体験をしてみて体慣らしをするのも良いですね。
「休ませてもらって皆さんに迷惑をかけたから、早く仕事に復帰して元通りにしっかり働かなくちゃ。」と考えるのは考え違いかもしれません。
休ませていただいたのは事実ですが、また頑張りすぎて、心の病がぶり返すようではもっと迷惑をかけることになるのです。
焦らず、ゆっくりでも着実に仕事に戻ることを考えましょう。
気を付けたいこと
「心の病なんて、気の弱い人がなるものでしょう。」と考える人が多いです。
でも現実にはある年齢まで元気そのもので働いていた人が急にうつ病になることがあります。
原因は仕事の量や内容だったり、人間関係の複雑さだったり、体力の衰えだったり、また全く思い当たる理由がないときもあります。
つまり誰でも当事者になる可能性があるのです。
誰でも心の不調に陥る可能性があることをみんなが認識し、自分がその状態かなと感じたら早く休養をとるとか病院に行くなどの対策を考えることが大事です。
また家族友人がそのような状態であることに気付いた場合には叱咤激励するのではなく、無理せずに病院とつながることを勧めたいものです。
早期発見は早期解決につながることは前述したとおりです。
また心の病にかかったらもう一生治らないと悲観することもありません。
実際に20~30代で病気に悩まされて仕事を休んだり辞めたりした人が、良い治療法や周りの人々の理解によってすっかり回復して元気に働いているケースがあります。
ある場合には自分に合った新しい仕事を見つけて、あるいは自然に囲まれた田舎に移住して元気を取り戻した例もあります。
焦らず、諦めないで徐々に回復を目指すのが一番です。
まとめ
働きながら、朝起きられない、食事が進まない、眠れないなどの症状が続いたら、心の病かもしれません。
早い時期に医療機関とつながり、回復を目指しましょう。
必要ならば産業医とも相談して、休職することも大事です。
復職するには短時間勤務をする復職プログラムなどもフルに活用して徐々に仕事に復帰しましょう。
誰でもなりうる心の病をいたずらに恐れることなく、当事者も周りの人も協力して上手に乗り切りたいものです。
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