デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を頻繁に耳にするようになりました。DXとは、2004年にスウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が提唱した概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義されています。
日本でもDXが加速していくなか、IT関連の仕事の需要も増えてきています。そのような経緯から、自分のキャリアとしてITの仕事に興味がある人は多くなってきました。
ただし、IT関連の仕事は職種がさまざまであり、「職種が多すぎてどれが合っているか分からない」、「IT関連の仕事が自分に合っているか不安」ということはありませんか。
ITといえば、ITエンジニアがイメージしやすく、需要が多い職種のひとつということもあり、ここではITエンジニアの仕事内容や必要なスキル、年収の目安などについて詳しく紹介していきます。IT系の仕事に興味があり、キャリアステップを考えている人はぜひ参考にしてみてください。
ITエンジニアとは?
ITエンジニアとは、IT技術者の総称を指す職業です。
「IT」とは情報技術のことで、「エンジニア」とは、エンジニアリング(工学)の専門的な知識・スキルを持つ人という意味になります。
ITエンジニアは、コンピューターを動かすためのシステムを設計するのが主な仕事となります。
役割や業務内容によって多くの職種があります。
- システムエンジニア
- プログラマー
- インフラ系エンジニア
- エンベデッドエンジニア…etc
それぞれが専門的な分野を担っています。
また、働き方については正社員や派遣スタッフなどの雇用形態から、フリーランスとして活動するなど、自由度が高いことも特徴です。
ITエンジニアの業種
ITエンジニアには仕事内容によって様々な業種があり、それぞれの仕事内容について理解しておくとキャリア形成に役立ちます。
代表的なエンジニア別に、仕事内容を紹介していきます。
システムエンジニア
システムエンジニアは顧客からの要求を分析し、どのように要求をかなえるシステムを構築するかを考える仕事です。いわゆる上流エンジニアの位置づけになります。
プログラマーと混在する人が多いですが、システムエンジニアは実際にソースコードを書くことは必須ではありません。基本的には設計まで行い、システムエンジニアの設計をどのように実現するか(ソースコードに落とし込むか)が、このあと紹介するプログラマーの仕事になります。
ほかにもシステムエンジニアで実際のリリース作業や、運用保守手段の検討まで行うケースもあります。
プログラマー
システムエンジニアの設計を実際のソースコードに落とし込み、システムを作成していくのがプログラマーの仕事内容です。中流・下流エンジニアの役割になります。
中流・下流だからといって低難易度というわけではなく、使用するソースコードの知識はもちろん、開発ツールの扱い方など必要な知識は多岐に渡ります。
設計されたシステムをどう効率的にかつ、高品質に作りこむかがプログラマーの腕の見せどころです。
インフラ系エンジニア
先ほどのシステムエンジニアやプログラマーはITエンジニアの総称的な職種ですが、インフラ系エンジニアはその中でもインフラに特化したエンジニアです。
※インフラは「インフラストラクチャー」の略で、基盤という意味です。
ITシステムはネットワークやサーバ、データベースなどの情報を処理する基盤の上で成り立っており、その基盤に特化したエンジニアという意味です。
もともと物理的なオンプレミスと呼ばれるサーバを立ててそこにシステムを構築していく形が主流でしたが、最近はクラウドが台頭してきており、仮想サーバ(クラウド)を採用するケースが増えてきました。インフラはオンプレ、クラウドどちらも指す言葉であり、特にクラウドは最新の知識がないとその時に合ったトレンド技術を扱うことが難しくなります。
エンベデッドエンジニア
エンベデッドは家電製品や自動車、携帯電話など、モノに搭載された機器を“制御”するためにシステムを組み込むエンジニアです。
パソコンも組み込みソフトで制御された機器であり、今はいろいろなモノがITで制御、作動するようになってきています。昨今ではモノ一つだけでなく、モノとモノをつないで新たな価値を生み出すIoTという言葉もよく聞くようになりました。
そんなIoTを実現するのも、モノの制御に特化したエンベデッドエンジニアの仕事内容になります。WEB上のシステムと違い、物理的な製品のスペックなども考慮して、スペックを最大に活かしてどのようにIT技術を組み込むかがエンベデッドエンジニアの力の見せどころです。
その他のエンジニア
ITエンジニアには、他にもAIエンジニア、セキュリティエンジニア、ITコンサルタントなど、その時代にトレンドになっている技術に特化して独自の仕事範囲を確立した職種が続々と出てきています。
どれがいいというよりも、今後の将来性や自分がどういう仕事がしたいかによっていろいろ調べながら選んでみると良いでしょう。
ITエンジニアの年収はどれくらい?
いろいろなエンジニアを紹介してきましたが、実際の年収はどれくらいでしょうか。
ここでは「正社員」、「派遣スタッフ」の2通りの働き方について紹介していきます。
正社員の平均年収
正社員のITエンジニアの平均年収は494万円。
正社員の一般的な年収が約400万円なので、平均では高い傾向にあります。給料分布を見ると、1,014万円〜という数字もあるため、経験や実績次第ではより高い収入を狙うことが可能と言えます。
派遣社員の平均時給
派遣スタッフの平均時給は2,289円であり、1か月あたり約36万円、年間では440万円ほどになります。
※1か月あたり160時間稼働=20稼働日×8時間 の場合
正社員よりは若干金額が低い傾向ではありますが、残業時間の加算や、実績を積んでキャリアアップ、高時給を狙うなど、いろいろな選択肢で収入を増やせるのが派遣スタッフの魅力です。それを考慮すると必ずしも正社員の方がいいとは言えません。
ITエンジニアに必要なスキルは?
今後ITエンジニアとしてスキルを磨いていきたいと考えるのであれば、ITエンジニアに求められる能力や心構えについて知っておくことが大切です。
ITエンジニアに必要な能力、心構えについて紹介します。
①コミュニケーション能力
良いシステムを構築するには、顧客、関係者と認識違いのないコミュニケーションが取れていることが不可欠です。ここでいうコミュニケーションとは、雑談力といったものではなく、顧客の要求と自社の関係者が作ろうとしているモノが違ったモノにならないようにすることです。トラブルは認識違いから起きるものなので、特にシステムエンジニアなど上流工程を扱うエンジニアとしては必須のスキルになります。
②マネジメントスキル
仕事を続け実績を積んでいくと、徐々にチームを統率することや、グループ群で仕事をすることが多くなってきます。つまり、自分の担当範囲だけではなく、チームもしくは会社単位で品質を担保していかないといけません。そこではシステムの知識ではなく、マネジメントスキルが必要になり、マネージメントができるエンジニアは年収も高くなる傾向にあります。ぜひ、実績を積んできたらチームで仕事をし、慣れてきたらチームを率いる立場にチャレンジしてみましょう。
③現状に満足せずに技術を追求する
IT分野は日ごろから最新の技術が続々と世に出ている業界になります。したがって、最新の技術にも触れ、自分の引き出しとして持っておけると人に頼られるエンジニアになることができます。この技術を追求する心構えを持つことは技術者としてとても大切な考え方になるため、興味がないことでも一度実践してみる習慣をつけるなど、自分の引き出しを増やしておくことを意識して生活していくと良いでしょう。
ITエンジニアのやりがいと魅力
お客様からの要求に合わせたシステムを完成させ、運用に持っていくことが、ITエンジニアの仕事になります。
適切なヒアリングをおこない、作成したシステムを見てお客様が喜んでくれたときにやりがいを感じられるでしょう。
仕事を進めるうえでは、システムの構築、設計作業は1人で担当することもありますが、数人で協力しておこなうこともあります。高難易度な案件でも、努力の末システムが完成できたときは、チーム全体で達成感を味わうこともできるでしょう。
また、実績を積むことでチームを率いる立場になったり、最終的にはコンサルタントを目指したり、いろいろなキャリアの選択肢があることもITエンジニアの魅力です。まずはプログラマーから始め、徐々に上流工程や特化型エンジニアになり、最終的にはその道のプロとしてコンサルや独立していけると収入面でもかなりの向上が期待できます。
まとめ
この記事では、ITエンジニアの種類や実際の収入事情、ITエンジニアに求められるスキルについて紹介してきました。ITエンジニアといえどさまざまな種類があり、その人がやりたいことや進みたいキャリアに対して選択することができます。
また、働き方も雇用、フリーランスなど自由度があり、在宅で仕事ができることも多い仕事です。
今後もITエンジニアの需要は多くなっていく見通しなこともあり、この機会にキャリアの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
この記事を参考に自身のやりたいことに照らし合わせてみてください。
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