システムエンジニアは需要が高く、高い年収も期待できる職種です。ですが、システムエンジニアとして働きながらも、「働いているが、自分がどのような水準なのか知りたい」、「年収を上げたいのにどうすればいいか分からない」などの悩みがある人もいるのではないでしょうか。
・企業規模数(10人以上)
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
・平均年収=「決まって支給する現金給与額x12か月」+「年間賞与その他特別給与額」
・プログラマーとシステムエンジニアは2020年より合算計算のため、
本記事では2017年から合算計算で5年間分のデータを抽出する。
・IT系従事者=「G39 情報サービス業」とする
ここでは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に年収データを抽出しており、
以下の条件で数字を出しています。
厚生労働省の調査によると、2021年度におけるシステムエンジニアの平均年収は513万円ですが、日本の年収の平均値は約369万円のため、実際かなりの差があります。今回はその理由や年収を上げるポイントを解説していきます。
この記事を参考に今後のキャリアプランを考えてみましょう。
過去5年間でSEの平均年収はどう変化した?
平均年収(千円) | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
---|---|---|---|---|---|
20代のSE | 3,676 | 3,687 | 3,702 | 3,561 | 3,649 |
SE全体 | 4,834 | 4,848 | 4,974 | 5,080 | 5,319 |
システムエンジニアは年々 平均年収が上がっていることが分かります。
2021年時点での正社員の平均年収が5,228(千円)なのでシステムエンジニアは平均より若干高いです。
20代のなりたての時期は逆に年収が少し低い傾向になります。
20代のシステムエンジニアの平均年収は少し減っているものの、システムエンジニア全体の平均年収は上昇している状況です。
賃金構造基本統計調査では、システムエンジニアの平均年収は最高で7,243(千円)※55〜59歳
であり、正社員の最高平均年収の6,326(千円) から約100万円高いことが分かります。
システムエンジニアは駆け出しの時は少し年収が低めですが、経験スキル次第で高収入を目指すことが出来る仕事です。
20代正社員と20代SEの平均年収を比較すると?
以下の表は20代の「正社員」と「IT系従事者」を対象に平均年収の推移をまとめたものです。
20代の平均年収 (千円) | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
正社員 | 3,651 | 3,713 | 3,753 | 3,625 | 3,692 |
IT系従事者 | 3,874 | 3,810 | 3,796 | 3,665 | 3,725 |
毎年大きな差はありませんが、若干IT系従事者の方が高めです。
また、「IT系従事者」には非正規雇用者も含まれているため、正規雇用でなくても高めの収入が期待できると言えます。
システムエンジニアの年収が高い理由は主に5つ
システムエンジニアは平均水準よりも年収が高めにあることを解説してきました。
IT人材は需要があり、スキルに希少性があるからです。
システムエンジニアが有している「システム設計」や「プログラミング」「コミュニケーション能力」などのスキルは希少性があり、他の職種でも活用できるものです。
年収額もそのスキルの価値に見合った金額に設定されています。
具体的になぜ需要があるのか、どのようなスキルがあるのかを紹介します。
IT人材の需要がある理由
それに伴ってシステムエンジニアも売り手市場になっており、転職の際にはあるていど強気で年収の交渉も可能な景況感です。
IT企業では「仕事はあるけど人手不足で受けられない」状況もあり、多少相場よりも高くても採用に積極的な状況になっています。
①プロジェクト立案スキル(要件定義)
システムエンジニアがプロジェクトの最初に行うプロジェクト立案の仕事は、希少性と汎用性が高いスキルを培えます。
この仕事の経験があるだけで重宝される人材になれるでしょう。
プロジェクト立案は、「お客様の課題や依頼に対して、解決策やスケジュール、予算感の見積」など今後AIなどに代わられないパーソナルな仕事です。
新規事業の立ち上げや、コンサルタントにもつながる価値のあるスキルと言えます。
②プログラミングスキル
IT人材の需要が高まる中、プログラミングスキルもまだまだ希少なスキルです。
小学校でのプログラミング義務教育化などの施策も出てきていますが、現状システム開発ができることは大きな強みになります。
ただし、次第にプログラミングスキルは標準的なスキルになる可能性が高いため、前述のプロジェクト立案などのパーソナルスキルも向上していきましょう。
③コミュニケーション能力
システムエンジニアがプロジェクトを完遂するためには、関係者との密なコミュニケーションが欠かせません。
それは開発中の仕様の調整から、トラブル時の解決まで、幅広いシーンで必要になります。
コミュニケーションではシーンによって「提案力」「ファシリテーター」「交渉力」など様々なスキルが必要です。
この一つ一つのコミュニケーションスキルも他の職種でも活用できるスキルであり、いろいろな企業で重宝されます。
システムエンジニアの年収を左右する要素とは?
ここまで解説した通り、SEは平均的に年収が高い傾向にありますが、その中でもトップ層とそれ以外では年収に差があります。
理由の一つはスキルレベルになります。
高スキル者の年収が高いことは想像がつきますが、経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、スキル標準レベル1の平均年収473万円に対し、レベル4では726万円まで上昇しています。
レベル1:新人・初級者レベル/仕事に慣れ始めたレベル
レベル4:部下を指導できるチームリーダーレベル
出典:IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果 (ndl.go.jp)
つまり、単純な勤続年数だけでなくしっかりとスキルを磨くことが大切になります。他にも年収に差が出る要素はあるので詳しく紹介していきます。
スキルの高さ
先ほどの「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」には、年々年功序列から能力・成果重視へシフトしていることも書かれています。
IT業界に限ったことではありませんが、年収は働いた年数ではなくどれだけ価値のあるスキルや成果を持っているかが重要になっています。
特に、先ほど挙げた3つのスキルは大切です。
働く場所(働く職種や業界・業績)
働き方や働く場所が違うと年収も変わってきます。
例えばSEでもコンサルティングの要素が多くなると平均的な年収は高くなります。
業界も特に金融などではシステムに求められる品質も高く、責任も重くなるためそれに見合った年収が設定されています。
また、働く企業の業績によっても左右されます。
当たり前ですが、業績の良い企業で働けば高い昇給や賞与が期待できます。
SE(システムエンジニア)が年収を上げるためには?
年収に差が出る要素を紹介してきました。
では、システムエンジニアが年収を上げるにはどういう方法があるのでしょうか。
先ほどの要素に着目して、方法を3つ紹介します。
習得したいスキルが身につく作業を経験する
この記事で紹介した「プロジェクト立案」「プログラミング」「様々なコミュニケーション能力」に通じる作業があれば、積極的に経験できるように動きましょう。
Sier企業などでも、希望する仕事に従事できるように社員のやりたいことを重要視している企業も増えてきています。
自分のキャリアプランを想像し、必要なスキルのためにいろいろと経験を積みましょう。
また、資格を取得すると報酬がもらえる企業もあるため、スキルの見える化も兼ねて資格取得に挑戦するのも良いでしょう。
年収の高い業界・企業に転職する
先ほど紹介した通り、比較的年収の高い業界や企業はあります。
したがって、即効性を求める場合は高い年収が期待できる場所へ働く場所を変える方法が有効です。
比例して仕事における責任も重くなりますが、それもいい経験になるはずです。
業界で言うと金融系、企業で言うと業績の良いSierなどが選択肢に挙がります。
DODAやビズリーチなど、高収入なキャリアアップを推進している転職エージェントを活用することも効果的です。
転職は当たり前になりつつあり、転職エージェントも様々なサービスが増えてきているため、転職のハードルも低くなっています。
フリーランスになる
最後に紹介するのが、企業で働くことから卒業しフリーランスになる方法です。
フリーランスなので報酬額も自分次第であり、上手くいけば企業で働くよりも高額な年収が期待できます。
独立して高い報酬を安定して得るには、高いスキルと営業力が必要ですが、それは企業でしっかりとスキルを習得できれば問題ありません。
まとめ
この記事では、システムエンジニアの実際の年収データと年収を上げる方法を解説しました。
システムエンジニアは高い年収を狙える分、必要なスキルや経験は難しいことも事実です。
ただし、そのスキルは今後AIに代わられたりすることもなく、今後どの職場でも重宝されるスキルになります。
また、年収には働く場所も重要であり、自分が希望するキャリアプランに応じて変えなければいけません。
まずはそのキャリアプランから逆算して、必要な経験や働く場所を決めると動きやすいと思います。
この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ自分のキャリアプランを再考して今後の精進に活かしてください。
▼一緒に読まれている記事はこちら↓