このはくん
小さい子ども向け英会話の先生の仕事に関心が高まっているね。
小学生から英語が必修になったしね。
でもどうやったら幼児英会話の先生になれるんだろうね。
難しくないの?
そうだね、長年幼児英会話の指導員をしていた先生に聞いてみよう!
幼児英会話指導員の仕事は楽しく、やりがいがあります。
子どもたちには無限の可能性があります。
上手に教えれば、どんどん英語を覚えて話せるようになり、将来は有能な国際人にもなれます。
子ども好きで英語が得意な人なら、この仕事に向いています。
私は高校の英語教師を勤めた後、イギリスで1年生活し、帰国後幼児英会話指導員として子どもたちを教えました。
ここでは、幼児英会話指導員になるにはどうしたらいいか、この仕事の内容、1日の流れ、やりがい、大変な点、目指すところなどを紹介し、これから幼児英会話指導員を目指そうという方々の参考にしていただけたら嬉しいです。
幼児英会話指導員になるには
教員資格と違って、現在のところ幼児英会話指導員の国家資格はありません。
民間の小学校英会話指導員資格やインストラクター資格を取るのは一つの方法です。
英語検定やTOEICで高得点を取っていれば、かなり有効です。
もちろん中高の英語教員資格も役に立ちます。
海外での生活体験があると有利です。
幼児英会話指導員の場合は、教室に3~6人程度の子どもたちを集めてグループレッスンをするタイプと教室であるいは個人宅で生徒を個別に1対1で教えるタイプがあります。
幼児英会話指導員の一斉募集はないので、個々の会社や個人の英会話教室などの求人に応募することになります。
現在はインターネットを使えば、すぐに求人は調べられます。
私の場合はある出版社がやっている家庭訪問型の個別英会話指導員の募集に応募して採用されたのが最初でした。
私は以前高校英語教師だったことと、イギリスに1年滞在したことがあり有利だったと思います。
面接試験では、英語でどうしてこの仕事を選んだのか、どんな指導員になりたいか、イギリスではどんな勉強をしたのかといったことを聞かれました。
日常英会話はできましたから、正直に答えて、合格となりました。
その後、子どもの英会話指導のための研修を受け、教材や教案の書き方についても指導を受けました。
子ども向け英会話の教え方については、この会社の方針はしっかりしていて研修を受けたことでコツをつかむことができました。
生徒募集や教材の準備はすべて、会社でやってくれるので、私は教え方を考えるだけでよかったのは助かりました。
難しい英語は必要ではありません、やさしい英語を正しく話せるならば幼児英会話指導員にはなれます。
幼児英会話指導員の一日
訪問型の英会話指導員は個人宅に行って、先生と生徒が1対1で、あるいは兄弟を一緒に教える1対2の形で行います。
1回につき45分のレッスンをし、移動時間を挟んで次の家を訪問するという形になります。
週に2~4日のレッスンで、1日に3軒ぐらいを回るのが平均的です。
例えばある日のスケジュールは次のようになります。
2:00~2:45 Aさん宅でレッスン
車で移動
3:15~4:00 Bさん宅でレッスン
車で移動
4:30~5:15 Cさん宅でレッスン
終了後は直接自宅に帰りますが、突然のキャンセルがあった場合には会社に連絡します。
1回のレッスンの進め方は次のようになります。
0~5分 英語であいさつ、今週の出来事や面白い話などのやり取りをする。
5~10分 英語の歌、ふりも入れて2~3回練習します。
10~15分 先週の表現のおさらい、今週の新しい表現の紹介
15~30分 今週の表現を定着させるために、カードゲームやクイズなどを使って応用練習をする。
30~35分 今日の表現のまとめのワークブックをして、今日の表現を定着させる。
35分以降、時間があるときはこれまでに覚えた表現を使うゲームをする、あるいは単元ごとのビデオを見て内容について質問するなどの復習に当てます。
また6か月に1回ぐらいの割合で会社が派遣するネイティブの先生と一緒のレッスンをします。
やりがい
小さい子どもたちに英語を教える仕事はとてもやりがいがあります。
特にそう思うのは次のような場合です。
・子どもたちが将来英語に堪能で有能な青年になるお手伝いができる
子どもたちは無限の可能性があって、記憶力も優れています。
大人になってからでは1日かかって覚えるようなことでも、子どもたちは数分の内に覚えてしまうことさえあります。
この時期に新しい言葉を教えるなら、すぐに覚えて将来は有望な国際人になれる可能性があるわけです。
そのような子どもたちにどうやって英語に興味を持たせて、覚えられるようにするかは指導員の力量にかかっているわけですから、責任が重いとも言えますが、それだけに頑張りがいがあるのです。
ある時、レッスンの最中に消防車がサイレンを鳴らしながら近くを通ったことがありました。
すると生徒が「fire engine」と叫んだのです。
とっさに英語の方が先に出てきたことに私も生徒もびっくり、嬉しかったですね。
普通はサイレンを鳴らして走る赤い車を見ると、消防車が来たと認識します。
次に消防車は英語で言うとfire engineだったことを思い出して、「fire engine」と叫ぶわけです。
ところがこの生徒には、赤い車=fire engineという直接の回路ができていたわけです。
このように直接の回路を無限に増やすことが英会話指導員の仕事なのです。
子どもたちがどんどん英語を覚えて使えるようになるのを見ることは、本当に楽しく、やりがいを感じます。
・自分の英語力を磨くことができる
子どもたちに教える英語の単語や文はごく基礎的で難しいことはありません。
ですが、英語を正しく教えるためには私自身がその使い方を正確に知っていなければなりません。
私自身はネイティブではないので、こんな言い方はしないとかこれは絶対正しいと判断することは難しいです。
例えば、「私はリンゴというものが好きなのです。」と言いたいとします。
I like apples.は正しい言い方です。
I like an apple.は間違いです。
しかし、「私はこのリンゴが好きなんです。」という意味ならば、I like this apple.と言うことはできます。
ですから、レッスンに使う表現は事前に本当に使える正しい言い方か念入りに調べることにしています。
色々な場合を想定して、正しい英語表現かどうか確かめることは自分の英語力を増すことにつながりますから、それなりにやりがいがあるわけです。
・達成感がある
会社から、1日のレッスンに新しい表現1~2個、新単語5~8個ぐらいを教えるということと、定着させるために1~2のゲームをする、さらにワークブックを1枚やる、という指示があります。
それ以外はどのように子どもたちに新しい文や単語を提示するか、練習させるかは指導員に任されています。
どうすれば、子どもたちが喜んでレッスンに取り組めるか、カードゲームや定着させるための質問はどうするかなど、すべて指導員が決めることができます。
学校と違っていつまでに試験の範囲を終わらせなくてはならないという期限もないので、生徒の能力に応じてレッスンを進めることができます。
レッスンが予想通りに進んで、子どもたちが喜んで取り組み、新しい表現を覚えて使えるまでになるなら、指導者である私も達成感を味わうことができるのです。
大変だったこと
子どもたちに英語を教えることは楽しいことですが、苦労することがないわけではありません。
例えば次のような問題もありました。
・パパママの希望が優先されて、子どもたちが英語に関心を示さない
子どもたちが幼いうちから英語を話せるようにさせなくてはと焦るパパママがいる場合、子どもたちは英語に関心がないのにレッスンを開始してしまうことがあります。
このような場合、子どもたちは、ほかの関心ごと(友達と遊ぶこと、テレビゲームをすることなど)に気を取られてしまって、なかなかレッスンに集中できないことがあります。
英語に興味も関心もない子どもたちをレッスンに引き込むことはとても難しいです。
幸運にも私はそのような子どもたちの担当になったことはごくまれでしたが、できる限りレッスン中にその子の関心のあるキャラクターを使って会話のやり取りをしたり、時にはカードゲームにヒーローの名前を使ったりしました。
場合によってはレッスンの終わりに、その子のお気に入りのゲームを見せてもらって感想を英語で言ったりもしました。
私の本心は、子どもたちが英語に興味と関心があるときにレッスンを開始して欲しいのです。
ですが、そうでない場合は、できる限りその子が英語を嫌いにならないように、できれば少しでも好きになることを願ってレッスンを組み立てる努力をしました。
・生徒がわかるエピソードを準備する
英会話の醍醐味は、型通りの挨拶や言い回しの練習をするだけでなく、知っている英語表現を使って自分の言いたいことを自由に言えるようになることです。
幼児でもちょっとした出来事を英語で話したり、聞いたりして楽しむことは英語好きになるポイントです。
私は型通りのレッスンの前後に、今週の話題を用意して子どもたちと自然な会話をしたいと思いました。
例えば、昨日スーパーに買い物に行ったのに財布を忘れて、取りに戻った、というようなことをジェスチャー付きで英語で話すと、大抵の子どもたちは聞き取れて大爆笑!
さらに「私は昨日どこに行ったのでしょうか。」とか、「スーパーでは何を忘れたのでしょうとか。」と尋ねると、ほとんどは答えられます。
特に私の失敗話は、子どもたちにとって面白い話だったようです。
しかし、適当なエピソードを準備するのはなかなか大変です。
毎日ネタ探しに頭を痛めます。
子どもたちの語彙にも配慮して小話を準備するのは楽しいのですが、適当な話題がなくて困った週も何度かありました。
でも子どもたちが理解してくれた時の嬉しさは格別でした。
・思った通りにレッスンが進まない
子どもたちは好奇心が旺盛です。
私が提示した新しい表現を素直に覚えて練習してくれることもありますが、他のことに気を取られてなかなかレッスンが進まないこともあります。
あるとき、動物の名前を覚える練習をしていました。
動物の絵を描いた手作りのすごろくを用意して、止まったところの動物の名前を言わせるようにしたことがありました。
子どもは喜んでやってくれましたが、すごろくを気に入ってしまって、「もう一回」と言ってなかなかやめようとしませんでした。
次の予定があるので、やむなく「すごろくは次の週まで貸してあげるからママとやっていいよ。」と言って、ようやくレッスンを切り上げることができました。
兄弟レッスンでは、絵や字が 描いてあるカードでゲームをすることがありますが、いつも一方の子どもが勝ってしまうと、負けた子どもはしょげてしまって、練習に戻れないという事態もありました。
できるだけ2人が勝って私が負けるように手加減しながらゲームを進めるとか、じゃんけんでカードを取るなど誰でも勝てるように配慮をしました。
それでも同じ子どもが負けてしまうこともあって難しいこともありました。
・パパママがレッスン中に子どもに指示する
ほとんどのパパママはレッスンに協力的です。
でも時たま、子どもにしっかり勉強させたいあまり、レッスン中に子どもがよそ見をしていると「先生の方を見なさい。」とか、「ちゃんと答えなさい」と指示をする人もいます。
これはむしろ逆効果で、子どものやる気をなくすばかりです。
でも「お母さま、子どもさんに指示しないで、私にお任せください。」なんて言うのは全く効果がありません。
むしろ、ママにもカードゲームなどに参加してもらって、見ているよりも実際にやってみるとそれなりに緊張することを実感してもらうのがいいです。
それに、子どもたちはよそ見をしているようでも私の声を聞いていることもあります。
ちょっと質問してみて、子どもが答えられれば、ママも安心するはずです。
こんなレッスンをしてみたい
以上が、私がこれまでの幼児向け英会話レッスンで学んだことです。
上手くいったこともありましたが、失敗だったこともありました。
私がやってみたいレッスンをまとめると次のようになります。
子どもたちが英語に興味と関心を示したときにレッスンを開始する。
目指すのはレッスンの間は英語のみで会話をすること。
子どもたちが喜んで参加できる英語の歌、お話を用意し、その日に勉強する英単語や英文を分かりやすく英語で説明し、カードゲームやオリジナルのクイズやゲームをして定着させる。
今日勉強したことを英語で質問して生徒も英語で答える。
自由な話題で英語の会話をする。
幼児が英語を勉強する場合は家庭でも常に英語で話す環境にあるならバイリンガルを目指せますが、週に1回レッスンをするだけでは、ある程度の語彙力と文章力を付けるのが精一杯です。
差しあたっては、英語を得意な子どもに育てることが近道です。
それには断然英語を好きになることが必要です。
本格的に英語を聞き、話し、書けるようになるにはかなりの時間がかかります。
英語が好きなら、その単調なトレーニングも苦になりません。
その意味で私が目指すのは英語好きな子どもを育てることなのです。
これから幼児英会話指導員の仕事をしようと思う方が、希望をもって働けるようになることを期待したいと思います。
まとめ
幼児英会話指導員はやりがいのある楽しい仕事です。
幼児が英語を習い将来国際人になることを期待することは素晴らしいことです。
思い通りにレッスンが進まないこともありますが、創意工夫で何とか英語好きな子どもを育てるようなレッスンを目指したいものです。
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