あまり知られていない、居酒屋の店長兼料理長のお仕事

大学生などをメインに、居酒屋でアルバイトをした経験がある人は多いと思います。
ただ、社員として働いた、という人はアルバイト経験者ほど多くはないはずですね。
特に、店長や料理長などの責任者となると、誰でもなれるというわけでもありません。
今回は、あまり知られていない居酒屋店長兼料理長のお仕事についてご紹介します。

目次

居酒屋店長兼料理長の仕事内容

本来は、店長と料理長は別々の社員が割り当てられることが普通です。
ただ、常に役職を任せられる社員が居るわけでもなく、店舗数に対して不足することもあれば、
売上や人件費の兼ね合いで、意図的に減らすというケースもあるんですね。
そうした場面で、この店長兼料理長というポストが出現します。

店長兼料理長の主な役割は、噛み砕いて言えば、お店の何でも屋です。
出勤するアルバイトさんは、当然ですが毎日固定というわけではありません。
その日に出勤するメンバーに合わせ、場面や時間帯によって、ホールとキッチンを行ったり来たり。
お店が円滑に回るように指示を出し、調整するのがメインとなります。

営業がスムーズにいかない場合は、何が理由で滞っているのかを見極めます。
即時対応しないとクレームになりやすいので、神経は使いますね。

お客様の様子を観察することも大事ですが、それ以上にアルバイトさんを観察することも必須。
アルバイトさん各個人の性格や能力、それぞれの関係性をしっかり把握します。
これが出来ていないと、教育も進みませんし、シフトが組めない、なんてことにも繋がります。

店長としての重要な任務は、いかにアルバイトさんと良好な関係を築けるかです。
アルバイトさんにシフト作りに協力してもらえないようでは、まともに営業できません。
どれだけ店長個人としてお客様を喜ばせたところで、意味がないんです。
アルバイトさんから嫌われていては、お店全体の評判はまず、上がりませんからね。

アルバイトさんに気持ちよく働いてもらえる環境を作ること。
それが、結果的に雰囲気の良いお店作りに必要な要素なのではないかと思っています。

料理長としては品質管理・向上は最低限のノルマです。
プラスして商品の出数の把握と、適切な発注量・仕込み量の指示を行うこと。
こういう言い方をすると難しく感じるかもしれませんが、
これは一般家庭の台所と、実はそんなに変わりません。

使い切れないほど買い物をして冷蔵庫をパンパンにしても、
パッと見で何が足りないのかわかりにくいですよね?
食べきれないほどの大量の作り置きをしても、それは効率的なのでしょうか?
美味しい状態で食べきれる、適切な量というものがあるはずですね。
そこを見極めて、キッチンスタッフに徹底させることが料理長の任務です。

また、新人さんが加入すれば、教育しなければいけません。
ですので、ホールもキッチンも、一通りのことを70~80点でこなせる必要があります。
店長兼料理長は、決してお店のナンバー1、スペシャリストである必要はないのです。
とても愛想の良い、明るいアルバイトさんが居れば接客のスペシャリストに育てる。
器用で要領の良いアルバイトさんが居れば、料理のスペシャリストに育てる。
人を上手く活用し、足りない部分を埋めること。
これが店長兼料理長に求められる、一番の役割であるかもしれません。

居酒屋店長兼料理長の一日の流れ

年中無休・ランチあり・深夜ありのパターンを一例でご紹介します。

11:00出勤

基本的に、オープン時間の1時間前に出勤というパターンが多いです。
前日の売上金の銀行入金、予約確認、店内清掃、納品物片付け、仕込み確認。

12:00オープン

ビジネス街の場合は込み合いますが、ローカルエリアの場合は暇なのでワンオペの場合も。
来店されるお客様に対応しつつ、仕込みがメインとなります。

17:00ディナー開始

ローカルエリアは、地元の方々がこのくらいの時間帯から動き始めます。
アイドルタイムにクローズしない店舗は、この辺の時間帯で順番に休憩時間になります。

20:00ピークタイム

おおよそアルバイトさんも揃い、店内が8~9割埋まる時間帯となる頃。
週末や繁忙期は、店舗によっては平日の3~5倍売り上げることもあるほど忙しくなります。

23:00~深夜

学生アルバイトさんと深夜帯スタッフが入れ替わります。
締切時間があるので、発注業務はこの辺の時間帯までに予測で済ませないといけません。

26:00~締め作業

この辺の時間で8割方のお客様は帰られるので、徐々に締め作業を開始。
急ぎの仕込みがあればこの時間にやることもありますし、なければ清掃時間です。

29:00閉店

レジ金の違算がないかチェックし、売上を本部へ報告し帰宅。

シフト制で、平均1日あたり13時間ほど、店長兼料理長はお店で過ごします。
隙間時間には本部から通達がないかメールチェックをしたり、次のシフトを作成したりと、何かしらやることがあるので、時間が過ぎるのはあっという間です。

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居酒屋店長兼料理長で大変だったこと

365日、連絡が入ります。
社員1人という状況ですから仕方がありませんが、シフト上休みであれ、お構いなし。
お店からは当日欠勤の連絡や、あれが見つからない、これはどう対応しますか、など。
本部からも各種通達や、クレームの共有、ヘルプ要請などなど…。
完全な休日と呼べる日は、年に数回、両手の指で足りる程度しかありませんでした。

休日返上で急遽出勤、というのも毎月のようにあります。
深夜の締め担当をやったその日、ランチの開けに行くのも自分、というパターンも普通。
運が悪いと、1日17時間労働で7連勤、なんてケースも。

居酒屋の仕事は、資格や経験がなくてもチャレンジできる気軽さがあります。
しかし、第一にまず、何はなくとも絶対的に体力が求められます。
体力がないことには、好きだからという理由だけで続けていくことは困難でしょう。

そして、精神的な強さも必須です。
お客様はお酒を飲まれるので、理不尽なクレームも非常に多いです。
こちらの落ち度で責められるのは、しっかりお話を伺って反省すべき。
ただ、よく話を聞くと、8割近くは憂さ晴らしに難癖を付けられているだけだったりするのですね。
真に受けて落ち込んだり、その都度イライラしていては、やはり続けられません。

かといって、別に、明るく元気な体育会系の人でなければ、居酒屋では働けないというわけではないです。
私は体育会系とは真逆な、内向的でインドア派の人間ですが、10年以上働いてきましたからね。
オンとオフの切り替えがしっかりできること。
それさえできれば、飲食業界、特に居酒屋では十分、やっていける可能性はありますよ。

居酒屋店長兼料理長のやりがい

居酒屋で店長兼料理長として働くやりがい。
それは、その場でダイレクトに反応が返ってくることだと思っています。

自分が考案した料理が、目の前で食べられて「これ美味しいね」と言ってもらえる。
これは、日常生活で考えても普通に嬉しいことですよね。

ホールでのサービスにおいても、これは同じことです。
自分のちょっとした気遣いで「ありがとう」と返してもらえる。
それが不快だという人はまず、いないでしょう。

代金はもちろんいただいていますし、その上で
「ありがとう、美味しかった」
と感謝してもらえる仕事というのは、他になかなかないのでは、と思います。

仮にご満足いただけなかったとしても、その場で反応を見られるわけですから、
すぐに改善点を見つけることもできるんです。
試行錯誤するのが好きな気質の人にとって、この環境は最適ですよね。

居酒屋業態は、飲食の中でも自由度が高いです。
高級レストランのように、厳密なルールなどが設定されておらず、裁量が大きいのです。
店長兼料理長であれば、自分1人なので、相方の希望を汲む必要すらありません。
つまり、自分が好きなお店を作り上げることが可能ということ。

結果が出せなければ終わりはやってきますが、1度失敗したら終わりというわけでもありません。
どこがまずかったのかをしっかりと分析し、新しいプランを練っておけば、
人手不足の業界ですから、自ずと再挑戦の機会はすぐにまたやってきます。
人気のある他所のお店に食べに行くのも勉強です。
繁盛店がどのようにお店を回しているのかを探るのも、ハマると楽しいんですよ。

また、自分でこういうお店を目指したい、というそこまでの目標がないとしても、
1日の予定を立て、その予定通りにお店が回るようにコンロールするのも達成感が大きいです。

〇時に予約が入っているから、遅くとも〇時までに仕込みを片付けよう。

予約が〇時だから、席を遊ばせないよう、回転を狙って前と後ろに優先的に配席しよう。

など、全てが狙い通りに進んだ時などは、アドレナリン的なモノが出ているのでは?
と思うくらいには気持ちがいいものです。

ただし、居酒屋業態は明確に、本部から〇〇しなさい、とは指示されません。
ですので、上からの指示を忠実に遂行することが喜びだ、安心する。
そういうタイプの方にとっては、抵抗がある働き方であるかもしれません。

該当する方は、自由度の高い居酒屋業態は避け、マニュアルの順守を重んじる傾向が強い、
ファミリーレストランや定食チェーンなどが、適した環境なのではないかと考えます。

まとめ

居酒屋店長兼料理長のお仕事についてご紹介しました。

私はその時点で10年の経験があったことから、1人で店長兼料理長を打診されましたが、
通常は片方のポジションで昇格するものなので、そこは未経験でもご安心ください。

未経験入社の人間に、いきなり無茶な要求をする会社があったら、辞めてしまって大丈夫です。

飲食業界は、転職回数の多い人が集まっています。
すぐに辞めたら、次の転職に響くのではないかと心配になるかもしれませんが、
みんな、自分が求める理想の環境を探して、転職を重ねるのが飲食業では普通なんですよ。
むしろ、1社に何十年も在籍していた人ほど、使い難い人認定されます。
1つの会社のやり方に染まってしまうと、新しい環境に適応できない人が多いのです。
なので、飲食業における転職は、何もマイナスにはなりません。

でもやっぱり忙しそうだな、と感じる方もいらっしゃるでしょう。
ですが、年間通してずっと忙しいことはありません。
可能であれば、居酒屋業態は2月や8月は比較的、暇な時期であると言えます。
そこから入社すれば、年末の繁忙期までには、戦力として貢献できるくらいにまで成長できる世界です。

経験がないなら、まずはアルバイトで気軽に体験してみるというのも1つの方法かと思います。
チャレンジのハードルが低い業界ですので、興味を持ったのなら、行動あるのみ。
私も最初は、当然ですけど未経験からスタートしています。
それでも、最終的には料理長や店長、果ては、兼任まで普通にやっていますからね。
動いてみると、案外、どうってことないものだったりしますよ。

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