このはくん、仕事ははかどってる?
まあね、でも僕の友たちは仕事の人間関係で悩んでいるんだ。
それはかわいそうね。私の職場の素敵な先輩を見習ってくれたらいいのにね。
そんな良い人がいるなんて!ぜひそういう人の話を聞きたいね。
仕事を続ける上で職場の人間関係がうまくいくかどうかは大事な問題ですね。
最近は人間関係がうまくいかないために、心の病にかかったり、退職したりする例も増えています。
ここでは職場で良い人間関係を保つためにどうしたらよいかを考え、多くの人から慕われている人の例を通して、人の心に寄り添うためのヒントを探ってみましょう。
職場で慕われている人には次のような共通点があります。
誠実に仕事をする
人望のある人は人柄が良いとか、優秀であるなどと言われる以前に、仕事をまじめにこなす人ですね。
趣味で仕事をしているわけではないのです。お金をもらう以上はそれなりの仕事をしなくてはならないのは当然です。自分の仕事には誠実に取組み、できる限り期日には間に合わせ、ミスのないように仕上げることは必要なことです。
ただし、誰でも時にはミスをすることがあります。そのような時は、ミスをごまかすとか、人のせいにすることがあっては困ります。
もちろん勤務時間内に私用で長く外に出ているとか、パソコンに向かってはいてもネットサーフィンをしているなどということがあっては誠実に働いているとは言えませんよね。
「仕事が遅くなると残業代が付くから、急いで仕事を切り上げる必要はない。残業代をもらって余裕で仕事をしよう。」と考える人もいますね。でもそういう人は誰が見ても分かるので、やがて信用を無くすことになります。
目立たなくても誠実に仕事に取り組んでいる人はだんだん周りの人にも分かります。勤務時間内にしっかりと働き、仕事をためたり、遅れたりしない人は誰からも尊敬されます。
ある中年の事務員さんは、家族が病気なので早退しなければなりませんでした。でもまだその日の仕事は残っていて、どうしても翌日までには仕上げなければなりませんでした。そこで彼は書類を家に持ち帰り、看病をしながら仕事を仕上げて翌日に間に合わせました。現在は在宅勤務というような形で仕事をすることも珍しくありませんが、当時はそのようなことをする人はまれだったので、同僚からは感心されたそうです。
休暇をとるのは当然の権利ですが、仕事が遅れることをできるだけなくそうという心がけは大事ですね。
思いやりの気持ちを持つ
自分の仕事はどんな小さなことでも責任をもって一生懸命にすることは基本的なことです。でも複数の人が勤務する職場では、自分の仕事さえやればそれでOK、ほかの人のことはどうでもよいというのでは、職場の雰囲気は悪くなります。
同僚の誰かが、仕事の上で問題を抱えているとか、家庭の事情で仕事にしわ寄せが出ているというような場合には、思いやりの気持ちをもって手助けできる人はとても親切な人です。
ある警察署では1週間か10日ほどのローテーションで泊まり番がありました。ある中年の警察官は奥さんが重い病気で闘病生活をしていました。彼は奥さんの看病をしながら勤務を続けていました。
彼が泊まり番の日に、特に奥さんの様態が悪かったことがありました。彼は勤務しながらも心配でたまりませんでした。すると一旦は自宅に帰った同僚の一人が、もう一度戻って来てこう言ったのです。「今日は私が泊まり番を代わりましょう。早く奥さんのところに帰ってあげてください。」
彼はこの優しい同僚に感謝して、大急ぎで家に帰りました。誰でも泊まり番は大変なので、できれば避けたいと思うものです。あえて人の分まで代わってあげるこの親切は警察官のような人をぜひ見習いたいところです。
また若手の会社員は年末にパートの女性社員が給料明細を見て、「今月は少ないわね。これじゃ、お正月のおもちも買えやしない。」とぽそりと言ったのを耳にしました。
彼は実家で餅つきをするときに「1臼よぶんについておいて。」と頼みました。両親は「1人で1臼も食べるつもり?」と不思議に思いました。
でも彼はおもちが仕上がると早速あの女性社員さんに届けに行きました。女性はとても驚きましたが、そういえば「おもちも買えやしない。」と言ってしまったことを思い出しました。
若手社員の優しい心遣いが嬉しくて、賃金は安いけれどもこの仕事を頑張ろうという気持ちになったそうです。
他の人のちょっとした言動にも心を向け、できることをして助け合う気持ちを持っている人は誰からも愛される人ですね。
他人の悪口を言わず、よく褒める
職場では休み時間などに、「○○さんは仕事が遅くて困る。」とか「△△さんは、しぶちんでコーヒーすらおごってくれたことがない。」などと陰口を言い合うことがありますね。
でも多くの人に慕われている人をよく見ていると、他の人をよく褒め、悪口を言わない人が多いことに気が付きます。
ある上司は人を褒めるのが上手で、他人の悪口を言わないということで有名でした。「あなたは字が上手ですね。」「Aさんは計算が早いからすごいですよ。」と誉め言葉を付け加えるのを忘れませんでした。
これを不思議に思った同僚が試して、誰からも苦手と思われている人のことを示して、「Bさんはどうでしょうね?」ともちかけてみました。彼は少し考えてから答えました、「Bさんの奥さんはとても良い人ですよ。」
誰が見ても長所を見つけられないような人でも決して悪口を言わないで、かえって褒めようとする彼は本当に職場で尊敬されていました。
弱い立場の人を顧みる
職場には色々な立場の人がいます。健康そのものでバリバリ仕事ができる人ばかりではありません。病気がちな人や家庭に問題があるために長時間働けないのでパート職員として働いている人もいます。そのような弱い立場の人を顧みる心の広い人はとても素晴らしい人です。
ある職場では心の病で休職を繰り返す人がいました。同僚や上司は彼の仕事を引き受けなければならないので大変でした。
しかしこの職場の責任者は非常に思いやりのある人で、休職中の彼を時々誘っては外で食事をしながら、これからの職場復帰に向けて具体的な方法の話し合いを続けました。
このような理解のある上司がいてくれたおかげで、彼は休みがちでありながらも、仕事を続けることができたわけです。彼もこの上司に対しては非常に感謝していました。
また35人ほどが勤務する事務職では、予算の都合で正社員は責任者の男性とその部下の若い男性が3人で、他はパート職員の女性ばかりでした。責任者の男性は非常に女性パートさんに親切で、めったなことでは怒らないし、出張に出かけると必ず当地の名物お菓子をお土産に買ってきて全員に配っていました。
またホワイトデーには男性職員4人が手分けをして、お菓子を買いに行くことが恒例になっていました。若手職員は「なんで、私たちがわざわざお菓子を買いに行かなくちゃならないのですか。」と聞きました。
上司は「この職場はあの30人のパートさんが頑張ってくれているからやっていけるのだよ。給料は私たちよりもずっと少ないのに同じような仕事をしてくれているのだから、お礼の気持ちを持たないといけない。」と説明しました。
若手職員はすっかり納得して、気持ち良くお菓子を買いに行ったことは言うまでもありません。
このような上司がいる職場では職員はみな和やかで、効率良く仕事ができます。人間関係が険悪だから仕事を辞めたいなどと言い出す人はほとんどいないのです。
気持ちの切り替えが早く、いつまでも恨んだりしない
職場にはいろいろな人が働いていますから、時には意見の食い違いがあったり、場合によっては言い合いになったりすることもあります。
しぶしぶ同意してもいつまでも悪感情を引きずることが多いものです。そんな時にも一定の結論に達したらすぐに気持ちを切り替えて、いつまでも相手の人を恨んだり、不愉快な顔をしたりしない人はとても立派な人です。
ある高等学校の職員会議で意見が真二つに割れたことがありました。ある先生は「この生徒は、将来性がないから、即退学にするべきだ。」と言い、他の先生は「いや、もう少し補修をさせて何とか進級させよう。」と主張しました。長時間の話し合いの後、結局すぐに退学にするのはやめようということになりました。しかし、退学を主張した先生は相当不満である様子がよくわかりました。
進級させようといった先生もかなり興奮した様子でした。しかし、彼は会議が終わるとロッカーから運動着を出して着替えをすると、もう暗くなったグラウンドでランニングを始めたのです。30分後に汗びっしょりで帰ってきた先生は「イヤー、いい汗かいたよ。」といつもの笑顔に戻っていました。
この先生はストレス発散の仕方を心得ている人で、会議が紛糾したことなどすぐに忘れて、翌日からの授業に影響を残すことなどなかったわけです。
このように気持ちの切り替えが上手で、人を恨んだりしないこの先生は誰からも好かれていました。
𠮟り方が上手
叱るのに上手下手があるのか、と不思議に思う人もいるかもしれません。
でも実は褒めるよりも叱る方が数段難しいのです。上手に叱ってその人を伸ばすこともある反面、叱り方が不適切でその人をすっかりダメにしてしまうこともあるからです。
だからと言って、ミスをした人をそのまま見過ごすならば、その人は仕事の上でも人間的にも成長できないことになるので、注意することは必要なのです。
最近の若者は大事に育てられ、家庭でも学校でもきつく叱られたことのない人が多いようです。ですから新入社員として就職しても、ちょっと叱られただけで辞めてしまう人がいるのも見逃せない事実です。
よく配慮のできる人は、他の職員がいるところで、特定の人を非難したり、厳しく叱ったりしません。むしろ他の人がいない静かなところで、まずその人の事情や言い分を聞いてから、怒鳴りつけるのではなく、諭すように話します。
理解されたと判断すれば、それで話は切り上げ、「今後気を付けてください。」で締めくくります。決して過去の失敗まで持ち出して、くどくどお説教することはないのです。そんな行き届いた配慮があれば、叱られた人も「今回は間違えてしまって迷惑をかけたけれど、次回からはしっかりやろう。」という気持ちになるはずです。
ある職場ではみんながいるところで、責任者がミスをした人を怒鳴るような声で厳しく叱りました。周りの人は何事かと思うほどで、むしろ失敗をして叱られている人に同情的だったそうです。すっかりしょげてしまったその人は翌日から出勤しなくなりました。そのうえ以前からその上司に不信感を持っていた同僚も仕事を休みたいと申し出たために、その職場は大ピンチに陥りました。
これは普段から双方に信頼関係がなく、叱り方にも問題があった例です。常日頃から、お互いが協力的で、しかも思いやりの気持ちがあるならば、ここまでこじれることはなかったのにと悔やまれました。
家族のような親しい関係がある職場
これは特定の人のことではなく職員全員に言えることですが、みんなが一家族のように友好的、協力的そして信頼関係があるなら、それは理想的な職場ですね。
職場は複数の人がそれぞれの仕事をして全体として成り立っているのです。誰かが休まなければならないならば、他の人がその分を補い、失敗があれば協力し、うまくいったときは喜び合う関係であるならば幸いです。
ある福祉作業所は小規模で職員は6人だけでした。責任者は若い人で従業員の方が年上であったにも関わらず、全員がとても友好的で一つの家族のようでした。
誰かが家族の病気や行事のために休まなければならない時は、誰かが「いいわよ、私が代わるから。」と気持ち良く申し出てくれました。旅行好きの責任者が海外旅行に行くときには譲り合ってみんなで交代で勤務をしました。誰かが失敗をしても誰一人非難するようなことはなく、「今度からは気を付けようね。」と言い合うのが常でした。
職員全員が協力的だったので、通所者さんたちも、気持ち良く作業をすることができました。職場の人間関係は良ければ、利用者の人たちにも良い影響があるのです。
これは小規模だったからこそできたこととも言えますが、みんながそのような気持ちで仕事ができれば簡単に仕事を辞めようと考える人も減るはずです。
まとめ
気持ち良く仕事を続けるには、誠実に働くのはもちろんのことです。
さらに思いやりの気持ちを持ち、他人の悪口を言わず、よく褒める。
弱い立場の人を顧みる、気持ちの切り替えが早く、いつまでも恨んだりしない。
そして𠮟り方が上手、で家族のような親しい関係がある。
そのように、誰もが人の心に寄り添うような職場でありたいものですね。
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